これが当社の戦略ですと言うので聞いてみたら・・・・・よくある?勘違い

「戦略」「作戦」「戦術」の全体像について「戦略と戦術の違い」にて記載した。

戦略と戦術の違い」でも述べたが、実は「戦略」というコトバの定義、「作戦」「戦術」のコトバの一般的な定義は、非常に曖昧で、その概念を理解するのは難しい。

そのため、貴社の戦略戦略は?と質問をすると、「それは戦略とは言わないですよ・・・」と反論したくなる内容を聞かされることが非常に多いのが現実だ。

 

以下は筆者が実際に聞いたことがある「貴社の戦略とは何か?」という質問に対する答えだ

「うちの戦略は儲けることだ」

残念ながら、「儲けること」とは、企業が存続し、顧客への価値の提供を継続的に行っていくための「必要条件」であって、戦略とは異なる。

戦略とは、理念やビジョンを達成するために、何を達成し、どんな手順で実現させるのか?というものであり、必達せねばならないものだ。

確かに「儲けること」を必達事項と言えないわけではないが、どうやって儲けるのか?という方向性を示すのが戦略である。

 

「お客さまに笑顔を提供すること」

この回答をした方の説明は次のようなものだった

「当社の理念は、『世の中を笑顔で溢れる人達で一杯にする』ということ。

そのために、まずは自社がお客様に対して『笑顔を提供する』。

笑顔は伝播していくので、自分達が率先して笑顔を届けることで、世の中が笑顔で溢れるようになる」

 

一見すると、このロジックは筋が通っているかのように思うかもしれない。

しかし、経営ということから考えると、これは「理念」や「ビジョン」に設定する方がよいだろう。

 

中小企業家同友会では、「企業は経済活動を通じて経営理念を達成するために存在する」と教わる。

笑顔を提供するために会社は存在している。

世の中に笑顔を溢れさせるために会社は存在している。

そのように説明した上で、では、具体的にどのようにして、どのような考え方でお客さまに笑顔を提供するのか?を戦略として示すべきだ。

なぜなら、戦略とは、理念を達成するための方策であり、全ての社員はその戦略を正しく理解し、戦略に即した行動をすることを求められるからだ。

 

「笑顔を提供する」だけでは、社員は曖昧過ぎて、その内容を正しく理解することはできない人が多いはずだから、全社員が戦略に即した行動を取るなどできるはずがないのである。

 

「社会に貢献すること」

これもよくある勘違いで、営利目的の企業といえど、社会の一員として存在してる以上、存続発展するためには、社会に貢献しなくてはならない。

社会に何らかの貢献をするからこそ、お客さまから認められ、必要とされる存在となり、対価を得ることができるのであって、社会に対するお役立ちができない企業が長期間存続できるはずがない。

そのため、経営理念を策定する場合、多くの先輩経営者やコンサルタント達は、経営理念の中には、社会に対してどんな貢献をするのか?を加味して策定することを勧めている。

つまり、社会貢献とは企業存続のための必要条件であるため、「戦略」とはいえないのだ。

「理念」としても「どんなことをする(何を提供する)ことによって」社会に貢献するのか?を記載すべきであって、社会に貢献することは企業が存在するための必要条件でしかない。

「伝統と信用を活かすこと」

これは「社訓」とか「社是」という種類のものであって、やはり戦略とは言いがたいものだ。

「伝統と信用を活かせ」と社員に説いたところで、では、具体的に目の前で起きている問題、課題をどう解決するのか?ということについては、ほとんど判断基準を提供してくれない。

「社訓」「社是」といったものは、価値観とか、教えというものであって、極めて道徳的なもので抽象的だ。

また、「社訓」や「社是」に基づいて行動したからと言って、理念やビジョンが達成できるか?と言えば、そうではない。

戦略とは、理念やビジョンを達成するための目標とシナリオであるのだから、考え方とは異なる。

例えどんなにすばらしい教えであっても、目標とシナリオとして成立しないものは戦略とは言えないのだ。

「設備投資をして新しい機械を購入する」

製造業などの場合、設備投資の金額はかなり大きなものになることがあり、投資をするか否かは経営者として大きな決断とされることがある。

しかし、設備投資とは、何らかの目標を実現するために行うものであり、本来は、設備投資を行ったのち、その設備をどう使って、何を実現させるか?というシナリオが必要なはずだ。

設備投資をするというのは、一瞬の行動でしか無く、一連の行動シナリオとは言えない。

したがって、業種、業態によって異なるが、設備投資をするだけでは、戦略としては成立しがたいのだ

 

以下は、戦略について学ぶ上でも、読み物としても非常に面白い一冊だ。

故城野宏氏の講演を本にしたもので、ビジネスマンに人気の三国志を題材としているため、好きな人には入りやすい。

オススメの一冊


 

 

 

 

 

 

 

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岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
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