戦略とは二者択一である(城野宏)

城野宏氏はその論文の中で、「企業の戦略」について以下のように言っている。

会社をどういうことでどこまでもっていくか、社員がなるほどこれならやり甲斐があると、ふるいたつような内容をもち、誰でもすぐわかって行動にかかれるようなものが会社の戦略でなければならぬ。

基本的には発展か衰退か、現状打破か現状維持かの二者択一である。

 

自分自身、「戦略とは二者択一である」「戦略とは『やる』か『やらんか』の2つに1つである」と初めて聞いたとき、正直言って「???」だった。

「そんな単純なわけないだろう」と思ったことを思い出す・・・。

 

でも、今は「全くその通り!」と思うようになった。

 

企業が戦略を立案するとき、その戦略は社員全員が簡単に理解することができ、かつ、目標と行動が定められている必要がある。

そして、示された戦略目標は、「必達」である。

「必達」されない限り、企業の目指す「理念」や「ビジョン」の達成はないわけだから、これは何が何でもやらねばならない。

だから、「やるか」「やらないか」という観点でいえば、「やる」と決めたことが戦略として明示されているわけだ。

 

ただし、物事には二面性があるので、「やる」と決めたということは、他に「やらない」と決めたという見方もできる。

実は、戦略目標達成のためには、「やらない」と決めることが重要であることが大半である。

 

経済活動をしている以上、中小企業などの「弱者」も大企業の「強者」と戦うことになる。

ランチェスターが明らかにした法則として、弱者が強者と戦って勝つには、ベトナム戦争において米国にベトナムが勝利したように、正面衝突を避け、個別の一騎打ちに持って行く必要がある。

一騎打ちに持って行くためには、何らかの形で「絞り込み」を行い、強者がやらないことをやることで、部分的に競争相手を凌駕すればよい。

この「絞り込み」こそが「やらないことを決める」戦略と言える。

 

「○○地域で○○商品のシェアNo.1を獲得する」という戦略は、じつは、「他地域への営業はやらない」「他商品のシェアは追いかけない」という「やらない」ことを決めたとも言えるのだ。

 

戦略を立案するとき、誰もがわかるように簡単に表現せねばらないわけだが、その一つが「二者択一」「『やる』か『やらんか』の2つに1つ」と示すことでもあるのだ。

 

さらに、注意せねばならないのは、「『やる』か『やらない』かであるので『できる』か『できない』かではない」ということだ。

 

実は、戦略についていろんな経営者と話をしていて、よくあるのだが、「やる」か「やらない」かと、「できる」か「できない」かと混同している人が案外多い。

 

戦略は必達すべきものとして示されるのに、「努力したけれど『できなかった』」という説明がされることがある。

この『できなかった』を容認すると、戦略は未達でも構わないということになり、理念やビジョンの達成は不可能となる。

 

戦略を考えるとき、努力をすることを評価してはいけない。

結果が全てである。

戦略に基づく戦術行動の積み重ね、すなわち、「成功事例」と「失敗事例」の積み重ねによってしか、戦略目標の他達成はできないのであり、積み重ねこそが「やる」と決めたことである。

積み重ねるのは、「成功」だけではなく「失敗」が重要だ。

失敗しなければ学ぶことはできず、成功に近づかないからだ

 

「戦略に基づく戦術行動を成功するまで積み上げる」ことが、「やる」ということなのだ。

そこに戦術行動の積み上げを「できない」ということはありえない。

それは、戦略として示されたにも関わらず、戦略に基づく行動を「やっていない」だけであり、「できない」のではないのだ

そして、戦略に基づく行動をとらない社員は、組織の一員としては不要な存在であり、行動を変えてもらうか、組織から去ってもらうしかないのだ。

 

 

The following two tabs change content below.

岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
  • Pocket
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

PDCAサイクルのCとAの日本語訳について
戦略とは何か? ~ なぜ戦略を立案しても達成することができないのか? Part2 ~
インターネット上の情報は丸見えであることを多くの人は知らない
明元素カウンセラー
バランススコアカードは作ってからが肝心
ランチェスターの法則・戦略を学ぶ上でオススメの本
多数ある戦略案から適切なものを絞り込む方法~戦略マップの作成~
大規模組織~少人数グループ、個人までBSC(バランス・スコアカード)は活用できる
アクションプラン(行動計画)のブラッシュアップ
これが当社の戦略ですと言うので聞いてみたら・・・・・よくある?勘違い
戦略案がなかなか出てこない時のコツ
SWOT分析時に精度を上げるためのフレームワーク
他の戦略策定に用いられるフレームワークとのBSC(バランス・スコアカード)との違い
多くの中小企業が抱えている正しい戦略を立案、実行することを阻害する要素
既存顧客を分析することでターゲットが見えてくる

Menu

HOME

TOP