BSC(バランス・スコアカード)とは何か?

BSC : Balanced Scorecard (バランス・スコアカード) は、1992年にRobert S. Kaplan(ハーバード・ビジネス・スクール教授)とDavid P. Norton(コンサルタント会社社長)が「Harvard Business Review」誌上に発表したマネージメントシステムである。

BSC(バランス・スコアカード)誕生の背景

BSC(バランス・スコアカード)が誕生した1992年の世界経済の状況を振り返ると、過去約10年の間、日本企業が世界を席巻し、米国企業の多くが競争に負けていた。

大量生産が競争の絶対的優位性を持っていた時代が終わり、品質と価格だけでは絶対的競争優位性を生み出すことができなくなったとされる。

成熟した欧米経済においては顧客層が変化し、人と異なるひと味違ったものを求められるようになり、イノベーションが成功の決め手となることが増えた。

つまり、「これからの将来は必ずしも過去の延長線上にあるとは限らない」という時代になったとされる。

米国企業を中心とした従来の伝統的マネージメント手法ではなく、日本企業が採用している(らしい)新しいマネジメントシステムの採用が社会から求められたとされる。

 

BSC登場前の米国企業の業績評価は、主として財務諸表によってなされていた。

優秀な経営者とは、財務諸表の優劣によってのみ評価されており、大きな経常利益を生み出した社長は優秀であり、日本企業から考えると信じられない高額な報酬を得ることが当然とされた。

しかし、財務諸表から見ると優秀なはずの米国企業が、世界各地でそれほど高い評価を得ていない日本企業との競争に負けてしまうのである。

そこで、当時の日本企業の評価を米国の学者達が研究し、日本企業の業績評価は、財務諸表のみをもって行われるのではなく、様々な視点(「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「人材と変革の視点」)で行われているという事実を突き詰めた。

さらに、株主からの評価を高める最高の非財務要因は「戦略の実行」であることも指摘されている。

 

こうした背景から、強い日本企業に負けないマネージメントシステムとして、日本的経営手法を米国企業が簡単に導入できるBSC(バランス・スコアカード)が開発されたとされる。

 

BSC(バランス・スコアカード)が提供するメリット

KaplanとNortonはバランストスコアカードを提示するに当たり、「戦略が失敗するのは、従業員が戦略を理解した上で自分たちの日々の業務に適用できるアクションプランに変換できていないからだ」と論じた。

そこで、BSC(バランス・スコアカード)では、実際に業務を行なっている人間にとって有意義で、事業戦略と整合していることが視覚的にわかり、企業の一部分だけでなく会社全体で何が起こっているのかについてバランスの取れた図を提示できるような現実的手法が提供された。

日本の第一人者で、Kaplanの一番弟子とされる吉川武男先生の著書「バランス・スコアカード構築」によれば、 BSC(バランス・スコアカード)は次のようなメリットを与えてくれるとされる。

  •  人の心を奮い立たせ、ビジョンを効果的に実現する戦略を立案する
  • 企業レベルの戦略目標と各組織レベルの目標を整合させる
  • 戦略の優先度を企業のステークホルダーに明確に伝達する
  • 経営資源を戦略の優先度に応じて配分する
  • 戦略の実行を迅速且つ効果的に実現するために、実行結果を測定・評価する

BSC(バランス・スコアカード)とは戦略志向のナビゲーション経営システムである

BSC(バランス・スコアカード)では、企業のビジョン、戦略、行動計画が誰にでもわかる図表によって示され、その進捗や成功度合い、プロセスを数値によってモニタリングできるようになっている。

計測可能な状態を指して、Kaplanは飛行機のコクピットに並ぶ計器類に例え、ナビゲーション経営システムと称した。

airplane cockpit

BSC(バランス・スコアカード)によって示される各種の数字を、飛行機のコクピットに表示される計器と同じように、複数の指標を把握することで、どんな施策が成功(失敗)しているのかをリアルタイムに把握し、どんな行動を変えねばならないのか?を即座に判別することを可能とするシステムであると説明されている。

これによって、バランス・スコアカードは次のような機能を提供すると説明されている。

  • PDCAを確実に実行させる仕組みを提供する
  • 4つの視点で企業経営や行政の成果とプロセスをモニターするナビゲーションの役割を果たす
  • ビジョンと戦略を各種の経営管理プロジェクトと従業員の日々の業務に落とし込むコミュニケーション機能を持っている
  • 企業経営や行政を戦略志向のマネジメントないし、ナビゲーション経営へ進化させる

戦略マップ~アクションプランまでだれでもわかる・使える仕組み

BSC(バランス・スコアカード)では、他のフレームワークを利用ながら、戦略策定をした上、その戦略を現場の組織構成員に容易に理解させる「戦略マップ」を作成することができる。

しかも、その戦略マップには、その戦略を実行させるために、担当者が具体的になにをしなくてはならないのか?というアクションプランまで明示している。

さらに、行動の成果、プロセスの状況をKPIによってリアルタイムに把握し、戦略目標達成をKGIによって把握できる。

これは、アクションプランの実行状況を科学的に測定することを可能としている。

その結果、問題点を即座に把握し、変革すべき行動の検討を行うことができるので、PDCAサイクルを自然と構築できるようになっているのである。

しかも、意外なことにこれらの図表は単純で、高度な知識を要すること無く、だれでも把握し、活用できる。

組織の内外に対して、容易に説明することができ、誰でも簡単に理解し、使える仕組みなっているのである。

 

 

 

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岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
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