なぜ戦略を立案しても達成することができないのか?

「戦略」と「戦術」の違いや、「戦略立案」「戦略選定」方法などについて、いろいろと記載してきたが、そもそも、「経営戦略」とは何なのだろうか?と考えてみた。

経営戦略とは他社との差別化を実現させるため、自ら意識して行う活動

いろいろ考えたけれど、自分なりに「経営戦略とは他社との差別化を自ら意識して行う活動」のことだと結論づけた。

資本主義国家、自由競争社会においては、基本的に1社独占の事業というのは公共事業を除いて存在しない。

かならず競合他社が存在する。

競争経済であるが故に、競合他社では無く自社を選んでもらう必要があるわけだ。

つまり、経営戦略とは、「買い手=お客さま」が他社では無く自社を選んでくれる理由を、自ら積極的に作り出す活動のことだ

世の中にはビジネスの天才という人がいるが、そうした人達は意識せずとも勝手に差別化が実現してしまい、競争で勝ち抜いてきたことがある。

しかし、そうした天才に率いられた組織は、天才経営者が引退した際、あっという間に衰退してしまうということが珍しくない。

ところが、差別化策を意識的に行ってきた組織の場合は、それが成功していれば、トップの交代によって衰退が始まる確率が減るし、衰退が始まるまでの時間が長くなったり、衰退の速度が遅くなったり、大きなダメージになる前に、新しい施策により業績が回復したり、飛躍するなんてことがよく起きる。

例えば、創業者が作り上げた強い会社を2代目が引き継いだ時、戦略が明確であった会社の場合、その戦略に即した活動を2代目が継承している限り、簡単にはつぶれない。

しかし、2代目がその戦略を無視したり、変更した時、他社との差別化のポイントが変わってくるから、自社の強みが変化してしまう。

自社の強みこそが、顧客から選ばれる理由だから、そこが変化すれば既存客が離れていく可能性が高くなり、業績に大きな影響を与えることになる。

もちろん、変更後の戦略が正しい情勢判断によって行われ、実行部隊が戦略を正しく理解し、行動すれば業績を落とすどころか、引き上げることも可能ではあるが、大きな賭になることは間違いない。

戦略とは投資である

MQ戦略ゲーム(MG)研修で学んでいくと、他社との差別化として特徴的に示されるのが「教育(黄)」「広告宣伝(赤)」「研究開発(青)」であることがわかる。

ゲームをすると、他社との差別化の基本は、こうした「教育(黄)」「広告宣伝(赤)」「研究開発(青)」といった活動を自らの意思で行うこと、すなわち、「投資」をすれば容易に実現できるが、「投資」を行わないと、差別化は非常に難しいということに気づく。

MQ戦略ゲーム(MG)やランチェスター戦略を知らない経営者のの場合、こうした投資は「余力があれば行う」と考えていることが多い。

しかし、投資は「差別化」を実現させるために行い、「差別化」は儲けるために行うものだから、儲かってから投資をするというのは論理的に不可能である。

※ もちろん、「たまたま儲かった」ということは起こり得るが、偶然は何度も起こらない。

他社との差別化をどうやって作り出すか?

最も簡単な方法は、投資によって作り出すことなのだ。

戦略のほとんどは重要だか緊急でない仕事

投資活動は、今、目の前で起こっている課題の解決に、即座に繋がるということはあまりない。

どちらかと言えば、将来の問題発生確率の低減であったり、将来の戦闘能力向上を実現させるためのものである。

つまり、「○○をしなくてはならない」と、戦略によって定められていても、「今すぐやらなくても困らない」と現場では考えてしまいがちなのである。

だが、こうした考え方をすると、自社の差別化を実現している要素は、どんどん劣化していく。

競争相手が向上すれば、相対的に競争優位性が低下するし、社会全体のニーズは、少しずつ上がっていくものだから、今年と同じことをやり続けても、お客さまの満足度は同じだけを得ることができなくなってくるからだ。

つまり、自社の差別化のポイントは、新しいものを見つける活動だけでなく、既存の強みを磨き続けることも非常に重要な事なのである。

ところが、先に述べた通り、差別化の活動はさしあたっての緊急性があるようには感じられない。

つまり、「重要ではあるが緊急ではない仕事」に位置づけられてしまうのである。

時間管理ができなければ戦略目標は達成できない

job-type-matrix

日々の仕事に忙殺されると、「緊急且つ重要な仕事」に追いまくられる。

すると、「重要だが緊急ではない仕事」が後回しになる。

ところが、「重要だが緊急でない仕事」の中には戦略が大きなウエイトを占めているから、この戦略達成行動を実行しないと、未来の自社の戦闘能力がどんどん低下していってしまう。

戦闘能力が低下すると、日々の仕事の中で「緊急且つ重要な仕事」の量がどんどん増えてきてしまう。

その結果、ますます「重要だが緊急でない仕事」ができなくなるのである。

悪循環だ。

 

この連鎖を止めるためには、何が何でも「重要だが緊急でない仕事」を実行する時間を確保することだ。

最初は時間を作るのに、睡眠時間や休みを削るなど、無理をしなくてはいけないかもしれない。

だが、なんとしても最初に「重要だが緊急でない仕事」として「戦略実現のための行動」を実行しないと、戦闘能力の低下を招いてしまう。

つまり、他社との差別化を行い、将来、仕事を楽にするため、「重要だが緊急でない仕事」として「戦略を実現するための行動」すなわち、「投資」を無理をしてでも行わねばならないのである。

基本的には、「重要だが緊急でない仕事」は何曜日の○時~○時の間に実行すると決める

その実施予定時間として定めた時間帯は、「重要且つ緊急である仕事」になったということにする。

すなわち、たとえ「緊急」の仕事が他にできたとしても、すでに「緊急」の仕事を抱えているという扱いとし、絶対にその決めた時間には他の活動をしてはならないのである。

 

「そうは言っても、仕事柄、どうしても緊急事態が発生するから無理・・」と言う人もいるが、「社員や親戚の不幸」があれば、どんなことがあっても、そこに仕事を入れないはずだ。

やればできるのである。

やらないだけなのだ。

 

戦略とは、時間管理をしない限り、実現不可能であり、戦略の実現ができないのであれば、自社の目指す理念やビジョン、目標となる利益の達成は遠い見果てぬ夢となるのだ。

 

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岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
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