ゲリラ戦(一騎打ち)に持ち込むには「絞り込み」が最も簡単ながら最強の威力を発揮する

弱者として強者とガチで戦うことを避け、弱者でも勝てる戦いをするには、ゲリラ戦(一騎打ち)に持ち込むことである。

ゲリラ戦(一騎打ち)に持ち込めば、戦力は第1法則が適用される。

「戦力=兵器の性能×兵の数」 (ランチェスターの第1法則)

このとき、相手が戦車であっても、戦車の性能を活かすことのできない戦場を選択させることで、相手兵器の性能は劇的に低下する。

逆に、こちらが仮に竹槍という武器であっても、それが有効となる戦場に持ち込めば、その戦力は戦車をも凌駕することが可能となる。

例えば、原始的ながらも、巨大な落とし穴を掘り、そこに敵戦車を落とし込めれば、対応も機銃も無効化できるし、戦車に登場している兵士が戦うためには、戦車から出てこねばならないが、白兵戦の実施を前提としていない戦車兵では、肉弾戦を前提とするゲリラ兵士とは戦闘にならない。

このように、自軍に有利な戦場で戦う「戦略」を取ることが、弱者が勝利する上で最も有効な方法である。

 

基本は絞り込み

では、ビジネスにおいて、そうした戦場を選択するにはどうすればいいか?

その基本は「絞り込む」ことである。

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そもそも、弱者(=中小企業)の限られた経営資源は、その威力を最大化できるところにだけ投入しないと、豊富な資源のある強者(=大企業)に勝てるはずがない。

そこで、とにかく絞り込めることは絞り込み、できることに特化してしまうのだ。

ランチェスター経営の竹田陽一氏は、マンダラを使って絞り込みのポイントをまとめている。

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A:商品戦略

大手と同じ商品、サービスを提供しようとしても、同じ品質、同じ価格で戦うことは難しい。

したがって、大手がやろうとしてもできない商品、サービスに絞り込み、大手がやっている商品やサービスの展開は、自社では「やらない」と決めるのである。

商品を絞り込むことで、絞り込んだ商品について集中できる。

すると、大手がやらない商品、サービス力が向上するという好循環が生まれる。

また、こうした絞り込みによって、有る特定のニッチな商品、サービスについては、大手に負けないNo.1をとることが可能となる。

逆に、No.1となることができる商品、サービスに絞り込むということだ。

B:地域戦略

大手が主戦場としている地域は避ける。

大手でなくても、競合が多い地域を避ける。

大手が来ない地域、競合が少ない地域に限定してしまうのである。

 

たとえ、大都市であっても、最寄り駅から遠いところ、川の向こう側、橋の向こう側など、交通の便が悪いところは大手も競合も少ない。

仮に、競合が営業エリアとしていても、訪問頻度は少ないのが一般的である。

例えば、こうした地域に絞り込み、競合が1ヶ月に一度か、それ以下しか訪問しないのであれば、1週間に1度訪問するだけで、訪問回数で1位になれるのだ。

人間は、コミュニケーションをとった時間が同じでも、頻度の多い人間に好意を抱くことが心理学でも明らかになっている。

1ヶ月に1度、1時間の打ち合わせをしていたのであれば、1週間に1回、15分の打ち合わせ×4回行えば、お客さまとの打ち合わせ時間は変わらずとも、回数が他社を凌駕する。

短い時間になれば、お客さまも時間を確保してくれやすくなるし、担当に聞き忘れたことがあっても、「また来週に質問すればいい」と考えることができるから、コミュニケーション回数をしっかり確保し、お客さまのロイヤリティを上げることができるのである。

C:客層戦略

業種、業態、職業、年齢、性別、年収等々、なんでも構わない。

顧客ターゲットは絞り込むことだ。

市場の中で八百屋さんが「ちょっとそこの奥さん!」と声をかけても、誰一人として振り向かないが、「ちょっとそこの髪の長い奥さん!」と呼びかけると2,3人が同時に振り返る。

絞り込んだ方が、自社がターゲットするお客さまと出会う確率が上がるのである。

特に、絞り込んだ客層の中でシェアがNo.1になれば、その客層の中でのブランド力が劇的に向上する。

ブランド力が向上すると、販促にもコストがかからなくなるし、販売単価も上げることが可能となる。

絞り込みによって、付加価値が付くのである。

D:営業戦略

大手は、営業担当者一人で稼がねばならない「売上」金額が大きい。

そこで、できるだけ効率の良い稼ぎ方をしなくてはならないという構造が存在する。

卸なら小売り業種に対して大量に販売することができ、効率的だ。

小売業なら大規模店舗を構えることで、大量の顧客を確保できるし、ネットを使った販売で大量販売を実現するという方法もある。

ところが、こうした大手の販売手法では商品やサービスを届けることのできない人達(会社)が必ず存在する。

そうした人達(会社)は、大手から見ると非効率的である。

そこで、徹底的に非効率的な「泥臭い」営業に徹して、徹底的に接近戦に持ち込む。

大手は空中戦をメインとするから、大手の見えないところで戦うことができ、お客さまから見れば、かゆいところに手が届く営業と思っていただくことが可能となる

E:顧客維持戦略

大手の販売手法は、どうしても効率を優先させねばならないため、機械的なものになりがちだ。

そこで、営業戦略と同じく、人間的な顧客との接点作りに注力する。

大量印刷された販促物ではなく、担当者の手間、人間性がにじみ出る販促物を使うこと、お客さまへのお礼を丁寧に行うこと。

これらは、大手がやりたくてもできないことばかりだ。

大手がやらないからこそ、差別化でき、お客さまから見れば、No.1サポートをしてくれる存在になることができるのである。

F:組織戦略

他の戦略を実現させるために、どんな組織にするか?ということだ。

組織作りは人作りだから、主として「採用」と「教育」の戦略が重要になる。

 

最近の企業では、賃金制度が年功序列型から、成果報酬型に移行してきているため、従業員教育のあり方が大きく変わってきているところが多いようだ。

かつては、大手企業であれば手厚い社員教育システムがあったが、現在は教育費用を切り詰めているところも多い。

また、中小企業の場合は、社員教育は無駄だと考えている社長も多く、研修などほとんど行われていないという会社が非常に多い。

 

つまり、教育に費用や時間をかけるだけで、他社との差別化が実現できる。

効果的な教育を実施していくことで、強い組織ができあがるはずだ。

G:財務戦略

大手企業のような公開株式による資金調達や、大規模な借り入れ、社債の発行という資金調達方法は、弱者には不可能である。

逆に言えば、他人資本をそれほど導入しなければ、トップの経営の自由度は高くなる。

大手が手形での支払いを基本にしているのなら、弱者は全て現金にすればいい。

顧客からの売掛金回収も、手形を廃止する代わりに、安価に販売することを約束すれば、キャッシュフローが劇的に改善し、投下できる資金力が向上する。

とにかく、軽装備で自由度を高める戦略を選定することだ。

H:時間戦略

大手はとにかく「時短」である。

大手の休みが多いのだから、逆に長時間労働をすれば、お客さまから見れば大きな差別化が実現できる。

組織戦略とあわせて戦略を練ることで、法に逆らうことなく、また、従業員への負担をかけることなく、他社よりも長時間の営業を可能とする戦い方があるはずである。

 

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岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
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