経営戦略で最初に決めるべきことは「顧客とは誰か」である

最近、いろんな企業の戦略策定に関わらせて頂いている。

そうすると、社長が自分で戦略を策定しきれていない場合が多いことに驚いた。

戦略を絞りきれていない会社(社長)で最も多いのは・・・・・

いろいろな社長と話をさせていただいてわかったのは、戦略を決め切れていない社長の多くは、自社が「何を」売るかは決めていても、「誰に」売るかを決めていないということだ。

「誰に」提供するのか決まっていない商品(製品・サービス)は未完成

実際には「誰に」が決まっていない商品(製品・サービス)というのは、お客様のニーズを拾いきれず、不完全なものになっていると言って良い。

 「何を」売るかを決めていながら「誰に」が定まっていない会社の商品、サービスというのは、完全に「売り手目線」になっているものだ。

こういった場合、「良い技術、原料、製法を採用しているから良い商品(製品・サービス)」だという説明がなされる。

しかしながら、「良い商品(製品・サービス)だから売れる」のではなく、「売れる商品(製品・サービス)が良い商品(製品・サービス)である」と考えるべきだ。

 

作り手(売り手)の目線で考えたとき、他の商品(製品・サービス)と比べて手間やコストがかかっているという理由で「これは良い商品(製品・サービス)だ」としている。

 しかし、よい商品(製品・サービス)は、商品単体では成立していない。

 

高級車を購入する人が求めている価値とは?

「メルセデス・ベンツ」オーナーへの道例えば、メルセデスベンツという車であれば、どこで購入してもお客様満足は変わらないか?というとそうではない。

「これだけの高級車なんだから、これだけのサービスをしてもらって当然」と考えるし、その期待レベルを超える付加価値を感じたとき、お客様は満足をする。

さらに、驚くほどすばらしい対応を営業が行うと、期待値を圧倒するレベルの付加価値を感じてもらうことになり「感動」を生む。

実は、商品(製品・サービス)というのは、お客様に提供する「モノ」だけでは成立せず、それに付帯するサービス、歴史など、お客様に提供する「付加価値」がセットになって初めて完成する。

 この「付加価値」は、お客様がどんなことに喜ばれるのか?ということがわからないと、付けることができないはずだ。

同じ「ランチ」でも誰に出すのかによってニーズは異なる

例えば、ビジネス街においてランチを提供する場合でも、ゆっくり落ち着いて商談しながら食事をしたいと考える人にお出しする料理と、とにかく時間がないのですぐに食べて移動できるようにするためにお出しする料理は異なるし、お客様が満足する価格帯も異なる。

 「ランチ」という売るモノが決まっていても、「誰に」提供するのかが決まっていなければ、お客様満足は得られないのである。

 

つまり、誰に提供するのか?を決めない限り、本来提供すべき商品(製品・サービス)の形は決まらないし、お客様満足を得ることができない。

お客様満足を得られないと、商売としては継続、発展させることはできないはずだ。

 戦略とは捨てること 

「戦略とは、やらないことを決めること」である。

「誰に売るかを決める」と言うことは、「その他の人には積極的に提案しない」ということ、つまり、「売ろうとしない人を決める」ということだ。

これは、見込客を捨てるという意味でもある。

ホテルと街中のレストランでは料理の考え方が違う

かつて、ホテルで開催される披露宴の料理は決してまずくはないけれど、美味しいわけではないというのが常識だった。

ホテルの多くは、「嫌われない」ことを第一に味を構成するからだ。

ところが、料理を勝負の基本とするレストランで繁盛している店の多くはこれとは異なる考え方をしている。

100人中、50人から「美味しい」と言ってもらえれば、あとの50人からは「美味しくなかった」「まずかった」と言われても良いという考え方だ。

不支持を減らすよりも、支持者を増やす活動をした方が、ファンがつき、固定客になり、繁盛するのだ。

自社の戦略を策定するとき、誰に商品やサービスを提供することでお金を戴くのかを決めること、それ以外の人からは戴く必要はないと割り切ることが、戦略策定の第一歩となるのである。

経営戦略策定の第一歩は「顧客とは誰か」を決めること

strategy-map-basic-template企業のゴールは儲けること、儲け続けることである。

儲けはお客様から戴くわけだから、どんなお客様から粗利を戴くのかを決めないと、何を提供するのか、どうやって喜んで戴くのかが定まらない。

お客様を絞り込んで初めて、自社の提供する商品(製品・サービス)内容が決まるのである。

バランス・スコアカードのフレームワークを使って、戦略を立案する際も、「誰に」を決めてから「業務プロセス」「人材と変革」の視点での戦略を検討すると、非常にスムースに戦略案が出てくるし、絞り込みがかなり楽になるはずである。

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岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
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