既存顧客を分析することでターゲットが見えてくる

戦略の策定においては、顧客が誰か?を決めることが重要であると述べてきた。

絞り込んだと言われたが・・・

fishing-600x600かつて戦略策定のお手伝いをした社長の中には次のような方がいた。 

【建築業】公共工事が中心だったが、これからは民間をターゲットに絞ります。
【飲食店】これからは「女性」をターゲットにしていきます。
【司法書士】法人に絞っています
【小売業】店舗から半径2kmにお住まいの方に絞ります
【製造業】○○という製品を欲しいと言っておられる方に絞っています

残念ながら、これらの事例では絞り込んだとは言えない。

これらの例は、釣りをする上で池ではなく「海釣り」をしますと言っているだけだ。

具体的にどこで、なんという魚を釣りたいのか?を明確にしていない。

魚釣では、具体的にどの魚を狙うのか?を定めないと、簡単には釣れない。

魚によって習性が異なり、食べる餌、すんでいる領域、活動時間などが異なるため、むやみに仕掛けを垂らしてもかからない。

狙った魚にあわせて適切な道具でなければ、たとえかかったとしても、糸が切れたり、竿が折れたり等、釣り上げることは難しい。

顧客を絞り込むいうのは、この釣りと同じで、どんな魚なのかをはっきりさせなくてはならないのである。

顧客を絞り込むとはどういうことか?

no_01具体的には、ランチェスター戦略の教えでは、競合他社と比較して1位になることができる市場(顧客)を定めるという意味である。

絞り込んだとする顧客をターゲットとする会社は他にいるはずだ。

そうした企業に勝たねばならない。

自社の特徴を踏まえ、どんなお客様であれば支持を得ることができ、他社に勝つことができるのか?を考えなくてはならないのだ。

まずは既存客を分析するところから

では、顧客とはどのように分類、定義していけばよいのだろうか?

起業してから3年以上経過している企業の場合は、既存客についてどうなっているかを分析すると、自社がターゲットにすべき顧客が浮かび上がることが多い。

マーケティングの世界では大きく言って次の2つのアプローチで分析、分類される

デモグラフィック分析

demographic-analyzing-512x384古くから用いられてきた分類・分析方法

年齢、性別、学歴、年収、職業、家族構成、居住地域、・・・等、その人のもつ「社会経済的な特質データ」を元に分析、分類する。

客観的な分類を行いやすく、比較的容易に分析データを作成できる。

これらの属性によって、顧客の嗜好や消費行動が異なるという考え方に立脚する。

例えば、「出汁」については、関東地域では「かつお」、関西地域では「こぶ」、中国地域では「にぼし」、長崎の一部などでは「あご」が好まれるといった分析、分類はこのデモグラフィック分析が適用できる。

ただ、販売したい商品やサービスの内容によっては、こうした属性値では、顧客ニーズが定まらないことも珍しくない。

サイコグラフィック分析

pscychographic-analyzing-600x600対象となる人の「心」に着目した「心理学的特性」に基づき分析、分類する。

行動、信念(宗教)、価値観、個性、購買動機、等が基礎データとなる。

多くはアンケートなどによってデータを取るが、本当の顧客心理を客観的に図ることが難しく、データの取得が難しい。

しかしながら、顧客のペルソナを作成し、仮説を立案する際には極めて有効な手段で、アパレル業界が新ブランドを立ち上げる際や、自動車メーカーが新車を企画する際などには、かならずこの分析、分類によるターゲット設定が行われる

 

2つの分類を組み合わせる

実際の顧客の絞り込みを行う時、これら2つの方法を組み合わせて行うとよい。

中小企業の場合、地域や業界、分野などを絞り込まないと営業的に対応できないことが大半である。

したがって、デモグラフィック分析で属性を決めながら、その属性内でも、さらにサイコグラフィック分析によって絞り込むのである。

例えば、上記の小売店であれば次のような設定をする。

デモグラフィック分析

  • 「店舗から徒歩5分以内に事務所を構えている企業に勤めている40歳未満のOL」

サイコグラフィック分析

  • ゆったりと食事を楽しみたい
  • 女友達を連れてきたときに、良い店だと自慢したい
  • おしゃれで落ち着いた雰囲気であることは必須
  • 料理ももちろんヘルシー志向
  • 値段は一人あたり○円~○円程度で
  • 最低でも5品程度の皿を食べたい

このように2つの視点で分類、絞り込みをかけていくのである。

なぜターゲット設定は既存客分析からするのか?

さあ、才能(じぶん)に目覚めよう―あなたの5つの強みを見出し、活かすさて、なぜターゲット設定は既存客分析からするのか?と疑問に思うかもしれない。

それは極めてシンプルな答えがある。

「自社の強みを簡単に活かす戦略を策定しやすい」

からだ

既存客は競合他社が複数ある中で自社を選んでくれたわけだ。

それは、他社と比較して競争優位性が発揮されたからである。

すなわち、既存客がどんな属性をもっているのか?を分析、分類すると、自社を選んで戴く可能性の高い顧客とはどんな人なのか?が明確になるのである。

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岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
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