「ペルソナ」を作れば迷ったときの指針となる

特定の人を呼ぶと周囲の人が振り返る「フラッギング」

広告宣伝において、「特定の人物を思い浮かべ、その人物に対して語りかけるつもりで作成せよ」と言われることがある。

幅広い人に対して語りかけても響かないが、特定の人物に語りかけると、その周囲の人たちを含めてメッセージが届くという心理を利用した手法である。

flagging-women-500x500マーケティングの世界では「フラッギング」とも呼ばれていて、特定のターゲット層に旗を立てるという考え方だ。

心理学では、「カクテルパーティ効果」と名付けられた人の心理を利用する。

「カクテルパーティ効果」とは、パーティ会場のような騒がしい場所であっても、自分に興味のあること、注意していることについては、その声を聞き取ることができ、注意をそらすと聞こえなくなることで、リアルな場所、空間にとどまらず、文書や映像、音声など全てにおいてこれが当てはまる。

例えば、多くの人が行き交う市場の中などで、「ちょっとそこの奥さん!」と呼びかけても、なかなか自分のこととは思ってもらえず、振り向いてもらえない。

ところが、「ちょっとそこを歩いている髪の長いきれいなお姉さん!」と呼びかけると、複数の人が振り返る。

最初のかけ声では自分のことだと思わず、聞き流してしまいながら、後者のかけ声では「自分のことかもしれない」と考え、振り向いてしまうのである。

この原理は、単なる販促活動にとどまらず、経営戦略の立案においても大きな力を発揮する。

顧客ターゲットをペルソナ化しよう

先日の記事において、経営戦略を明確にしていく上では顧客の明確化が必要であると述べた。

さらに、別の記事で顧客の明確化のためには、デモグラフィック分析とサイコグラフィック分析が有効になるとも述べた。

そこで、だいたいの顧客像が明確になったところで、アパレルメーカーや自動車メーカーが行うのが「ペルソナ」の設定である。

ペルソナとは?

ペルソナとは顧客像を擬人化したものと解釈すればよい。

profile-02-600x600架空の人物であり、キャラクターでもある。

小生が顧客像の明確化をお手伝いする際は、次のような手法でペルソナ作成をしている。

  1. 自分が作家になったつもりで、自社を舞台にした小説を書くつもりになる。
  2. 登場人物として、自社の典型的なお客様であり、重要なお客様とはどんな人物になるか?を想定する
  3. 想定した人物に、性別、年齢等、嗜好、趣味、好みのタイプ等々、デモグラフィック分析やサイコグラフィック分析を参考にしてキャラクター設定を行う。
  4. キャラクター設定なので、「名前」はもちろん、生年月日や星座、血液型なども決めていく。
  5. 設定したキャラクターが、どんな日常生活を行っているのかを想像し、生活パターンを文書化する。

このように設定した「ペルソナ」は自社が最も大切にしたい典型的な顧客である。

経営戦略の策定にあたっては、設定した「『ペルソナ』ならどう感じるのか?」「『ペルソナ』ならどんなニーズがあるのか」「『ペルソナ』ならどうすれば喜んで戴けるのか?」という観点で案を出し、精査していくのだ。

また、意見が分かれたときや迷いが生じたら、「設定した『ペルソナ』ならどう考えるのか?」を想像し、議論することで、ほとんどの場合は解決策が見えてくるのである。

ペルソナを設定するメリット

ペルソナを設定するメリットとしてはつぎのようなものがある

お客様視点で問題を見つめることができる

ペルソナとは自社の典型的なお客様を擬人化したもの。

そのペルソナの立場ならどう考えるか?というのは、そのままお客様視点ではどうなのか?ということである。

これにより、商品力、サービス力など、お客様に対して提供する価値のレベルを上げていくことができるようになる。

お客様が増える

ペルソナは自社の顧客分析に立脚して行われるから、多くのお客様の声を代表するニーズが見えてくる。

分析段階では気づかなかった要望なども、ペルソナを設定すると深掘りができ、広がりも生まれるため、より研ぎ澄まされていく。

しかも、フラッギングのように、特定の人物に語りかけるとその周囲にいる人たちにもメッセージが届き、ファンが増えていく。

禅問答のような表現になるが、絞り込みによって顧客数が減るかと思いきや、共感した周囲の人たちが顧客化する数が増えるため、結果的には絞り込み前よりも多くの顧客を獲得できるようになるのである

自社の方向性を一致させやすくなる

「ペルソナ」という共通判断基準ができるため、様々な課題、問題への解決について、関係者の方向性が一致しやすくなる。

全員の方向性が一致できれば、それぞれの英知を結集することができ、課題解決が迅速、且つ、確実に行うことができるようになるのである。

 

ぶっちゃけ、ペルソナの設定を行って損をすることは何もないのでは?と思う。

ほとんどの中小企業において、顧客の絞り込みが戦略の策定における必須条件となる。

絞り込みを行う上で、これ以上に役立つものはないと思う。

ペルソナはそれほど強力な武器になる。

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岡本 興一

クライアント経営者からは「カウンセラー」と呼ばれている自称「IT活用コンサルタント」。 ホームページ制作の依頼があっても、経営改善のための社長カウンセリングが始まり、なかなか制作が始まらないということで有名。 1971年生まれ。国立大阪大学工学部卒業。 ネットとITに詳しい経営者のサポーターで、仕組み作りのプロフェッショナル。 PHS販売数日本一の通販サイトや、圧倒的な売上を作るホテルのサイトなど多数プロデュースし、インターネットやITを経営に役立てるためのノウハウを常に仕入れ、実践しているだけでなく、経営に関する様々なノウハウ、メソッドの研究を行っており企業の「戦略」策定能力には定評がある。 保有資格:ITコーディネータ / CompTIA e-Biz+ / TCAE /公認情報セキュリティ監査人 / 情報セキュリティアドミニストレータ / CSMS(米国SEW認定SEO/SEM スペシャリスト)など多数
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